カテゴリ
1.最近出会った太宰さん ・逆行 ・新釈諸国噺 ・お伽草紙 ・黄村先生シリーズ 2.太宰文学考 ・『待つ』について 3.エッセイ・小説・その他 ・太宰です……。 4.駆け込み、謳え 5.太宰治で読書感想文を書こう! ・太宰治で読書感想文を!2012夏 6.この夏読みたい太宰治 ・この夏読みたい太宰治2012 ・『道化の華』事件の考察 7.撰ばれてあることの太宰と私 8.マイノスタルジア タグ
記事ランキング
検索
以前の記事
2012年 11月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 blogranking
外部リンク
blogparts
その他のジャンル
ブログジャンル
画像一覧
|
皆さんこんばんは。『太宰治で読書感想文を書こう!』第五回目。さっそく始めたいと思います。
前回はこの『煙草と美男子』が発表された年と前の年について調べてみました。今回は、そこで知り得た「児童福祉法」と本作との関係性について突き詰めていくこととします。 ここで太宰さんは“子供を守る法律”が制定されたその翌年に“子供の浮浪者”が出てくる作品を発表しています。これは、果たして偶然でしょうか。いいえ、私は違うと思います。 きっと太宰さんは、この法律の制定について新聞などを通して知っていたに違いありません。実際に新聞を精読していた様子で “新聞を細かく読む方で、新聞記事はよく作品にとり入れていた”(津島美知子『回想の太宰治』より)と、彼の奥さまも書いています。 ですから、ここにおいても「児童福祉法」の施行が、この作品を書くに当たってのヒントのひとつとなったと考えられます。なぜなら、ここに出てくる浮浪者とは、皆“戦争孤児”であると思われるからです。 まさか、たかだか9ページ程度の作品から、こんなに多くのことを読みとることができるとは、私自身でも驚きを禁じえません。ただ、時代背景さえ理解できれば、他の作品からでも同じように様々なことが読みとることができるとも言えるでしょう。 この作品を選んだ理由としては“戦後の日本の姿”がそこに描かれてあることが、一番大きなポイントでした。つまり社会性のある作品であることに、前もって気が付いていたのです。ですから、ちょっと調べただけでも、感想文を書くための、いわゆるネタが出てきたのです。 社会性のある作品は、現代との比較がしやすいです。ここまでで私自身が感じたのは、戦後の日本と震災後の日本の類似点です。“戦争孤児”と“震災孤児”が、ここにおいて最も着目すべき点でしょう。 しかし、これが『人間失格』でしたら、こうはいかなかったかもしれません。『人間失格』を読書感想文にお勧めできないということは、第二回においても少し触れました。ひとつ目の理由は、長いということ。そして、もうひとつの理由がここにあります。 あの作品は人間の内面的なものを描いた作品であって、社会性には乏しく思えます。実際に調べたわけではないのですが、それを調べるためには、まず読まなければなりません。それは、また労力のいることとなり、遊ぶ時間が減ってしまいます。“作品は、長編ではなく、短編を選ぶべし”ここでもまた、このことが言えるのです。 また少し話が逸れてしまいましたね。では、今回はここまでにしたいと思います。最後に今回のポイントのおさらいをしておきましょう。 “その作品に書かれた社会性に着目するべし” それでは、今回はこの辺で。また次回お会いいたしましょう。
by oobayouzou
| 2011-08-10 20:05
| 5.太宰治で読書感想文を書こう!
|
ファン申請 |
||