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太宰治『短篇集』『津軽通信』を再読。(ともに『津軽通信』新潮文庫に収録)
『短篇集』の中の「一燈」、『津軽通信』の中の「庭」という作品には、いずれもお兄さんが登場する。 このお兄さんが作品に登場すると、急に気取ったポーズをやめ、襟元を正し、行儀良く正座をしだすような、そんな太宰さんの姿が思い浮かばれてならない。 しかも、そのうえで、だらしなく笑ったり、おどけて見せたりと、兄に対する畏敬の念と心からの甘えの、その両方を感じさせるのである。 初期の作品『道化の華』(1935年)の中においても兄は登場するが、畏敬というよりは畏怖に近いかと思われ、甘えはあまりも感じられない。 この頃から比べると『短篇集』(1939~1940年)の頃、『津軽通信』(1946年)の頃と、次第に兄弟の関係が修復しつつあることが、あくまでも虚構を取り入れたものではあるものの、それでもはっきりと感じられる気がするのだ。 もしかすると、照れ屋で気取り屋の太宰さんが、唯一、素の自分を曝け出せた相手は、実はこのお兄さんであったのではないだろうか。 『津軽通信』の書かれた2年後には、命を断ってしまう太宰さん。兄弟の関係から言っても、とても残念でならない。 また、短編作家としての太宰さんの持つ天才的な才能については、多くの評論家が指摘している点でもある。 私のお気に入りは『短篇集』では「リイズ」、『津軽通信』では……全部である。
by oobayouzou
| 2011-04-04 20:01
| 1.最近出会った太宰さん
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