カテゴリ
1.最近出会った太宰さん ・逆行 ・新釈諸国噺 ・お伽草紙 ・黄村先生シリーズ 2.太宰文学考 ・『待つ』について 3.エッセイ・小説・その他 ・太宰です……。 4.駆け込み、謳え 5.太宰治で読書感想文を書こう! ・太宰治で読書感想文を!2012夏 6.この夏読みたい太宰治 ・この夏読みたい太宰治2012 ・『道化の華』事件の考察 7.撰ばれてあることの太宰と私 8.マイノスタルジア タグ
記事ランキング
検索
以前の記事
2012年 11月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 blogranking
外部リンク
blogparts
その他のジャンル
ブログジャンル
画像一覧
|
太宰治『お伽草紙』より「舌切雀」を再読。
この作品には、内助の功を称えるという意味が込められているような、そんな気がした。 ここに出てくる“お婆さん”は、実際のおとぎ話に出てくるような悪妻では決してない。ただ世捨て人と化した“お爺さん”との生活を守るのに、懸命なだけなのである。ゆえに俗っぽくもなり、そのことで逆に“お爺さん”との関係も冷えていくという、皮肉な身の上なのである。 出会った頃の二人は、この“お爺さん”と雀のように他愛も無い会話を交わしていたのであろう。そして、舌を切られた後の雀とのように、何も言わなくともお互いが通じ合うようにもなったのであろう。しかし、時が経つにつれ、次第にお互いの心は離れていく。これは何も小説の中だけの話ではなく、現実社会においてもよくある話である。 太宰さん自身、生活者としては失格であったかもしれない。その内助の功も甚大なものであっただろう。もちろん太宰さんは、そのことに対して感謝の気持ちを持っていたに違いない。この作品は、そんな感謝の念が表わされたもののように、そう思えてならないのだ。 尚、この作品が書かれる前の年、最初の妻初代さんが中国のチンタオで亡くなっている。若き日の太宰さんを支えた人物である。 「いや、女房のおかげです。あれには、苦労をかけました」~『舌切雀』より
by oobayouzou
| 2011-07-31 20:00
| ・お伽草紙
|
ファン申請 |
||