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太宰治『新釈諸国噺』より「義理」を読んで
太宰さんの周りには、“義理”とかそういった関係で、彼の窮地に助けに入る人たちが大勢いた。太宰さん自身、そのことに関してはもちろん感謝していたとは思う。しかし、人知れず鬱憤を溜めこむのも、また太宰さんなのである。 この作品には、自分に義理立てしてくれる者たちに対する自戒の念と、その者たちが“義理”によって、迷惑を被る形となることへの皮肉さとが隠されていると感じた。すなわち“義理”の“美しさ”と“哀れみ”である。 また、本作とは直接関係はないが、興味深い話を思い出したので、ここに書き記しておきたい。 太宰さんは熱海で小料理屋の主人に借金を作るのであるが、井伏鱒二氏の仲裁で出世払いとなっている。実はこの主人、井伏氏にはかつての恩があったのだ。 かれこれ云えぬ義理もある筈だ。「我慢しろ、我慢しろ」となだめるに、おやぢ遂に折れて出た。太宰の出世払ひということにして帰京する。~井伏鱒二『十年前頃』より このようにして太宰さんは、自分と直接関係の無い“義理”までも、知ってか知らないでか利用してしまうことがあったのであろう。まったくもって、人から愛される才能に長けていたとしか言いようがない。だが、それ故に、他人には理解できない苦しみもあったのかもしれない。 作中、愚かな若侍は川に流されてしまう。その姿が、玉川上水での太宰さんの姿と重なったのは、私だけであろうか。
by oobayouzou
| 2011-07-03 20:04
| ・新釈諸国噺
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